忍者ブログ 不立悶字(ふりゅうもんじ)

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連載を更新
連載「uncanny people」の後編分を更新しました。
いやあ、大したオチもないのに、一週間もひっぱってすみませんでしたあ^^;

そして、おまけなのですが……。
何だか訳がわからないものに><!
つづき
 宿毛の男どもが揃って町へ行くという。
「おなごじゃ、おなご」
 関係あるかは解らないが、現在白鮫の女性たちが数人、宿毛砦へと泊まり込んでいる。
 小源太との打ち合わせやらなにやらが理由だが、もしかしたらその色香に我慢がきかなくなったのかもしれない。
 男たちが車で出て行くのを、直江が冷めた目で見送っていると、
「あんたはいかないのかい」
 寧波がめずらしく、直江に声をかけてきた。
 しょっちゅう顔は合わせているが、あまり口をきくことはない。
 きっと直江の正体が不明だから、警戒されているのだろうと思っていたが、意外にも親しげな態度だ。
「まあ、わざわざ外に出なくたって、白鮫(うち)の子の中にもあんたなら相手になってやってもいいって子がいるかもねえ」
 寧波は品定めの目つきで直江を見ながら、そう言った。
 "相手になってやる"だなんて、まるで決闘か何かのようだ。
 直江が興味がないとばかりに肩をすくめると、
「ふうん」
 今度は直江の顔を覗き込んできた。
「よっぽどウデに自信がないのか、それとも」
 その顔に、笑みが浮かぶ。
「おなごに興味がないのか」
「……何が言いたい」
 腕組みする寧波を、直江は見遣った。
「隼人といい、あのぼうやがそんなにいいかい」
「───……」
 何の話だ、ととぼけてみても通じないだろう。
 清正と対面した際の抱擁のことは、きっと寧波の耳にも入っているだろうから、誤魔化しようがない。
 微笑って、目を伏せた。
 そんな直江に、
「一度、うちの子と試してみたらいい」
 寧波はからかうように言った。
「おなごの良さを思い知るだろうよ。何なら」
 寧波の顔がぐいっと近寄ってくる。
「私と一度、手合わせするかい」
 思わず、長い睫毛の瞳を見つめ返した。
 もちろん、手合わせとは組み手とか漕艇の腕を競うといったものとは違う。
 寧波は強靭な筋肉と健康的に焼けた肌の持ち主ではあったが、その身体のラインは魅力的な女性そのものだ。
 男なら誰でも、例えそれが冗談だとわかっていたって、きっと首を縦に振ってしまうだろう。
 しかし。
「負け戦をするつもりはない」
 直江は、多少気を使って答えた。
「───……」
 しばらく目を丸くしていた寧波は、
「うまいねえ」
 そう言って、高らかな笑い声とともに去っていった。


  □ □ □


「おうぎぃ、入るぜぃ」
 淹れたてのコーヒーを手に高耶のテントへとやってきた潮は、返事が無いのをいいことに、勝手に中へと入っていった。
 高耶は、こちらに背を向けて寝袋にくるまっている。
 まだ眠っているようだ。
 コーヒーを机の上に置くと、その音に高耶の身体が少しだけ反応した。
 そろそろ起きるのかなあと思って顔を覗き込むと、
「うわぁっ」
 ぐいっと腕を引っ張られた。
 まだ寝ていると思った高耶の顔が間近にある。
 何故か、驚いている顔だ。
「───ああ、悪い。人違いだ」
「へ?誰とだよ」
「いや……寝ぼけてた」
「ふうん?」
 潮が首を傾げていると、それ以上は聞かれたくないとばかりに、高耶は立ち上がって顔を洗いにいってしまった。


  □ □ □


 翌日。
 再び高耶のテントへコーヒーを持って訪れると、かすかに話し声が聞こえてきた。
 今日は、もう起きているらしい。
 また勝手に中に入ろうとした潮だったが、一瞬動きを止めた。
 外まで漏れてきた声が、くすぐったがっているような、とても楽しげな笑い声だったからだ。
(誰といるんだ)
 もしかしたら小太郎が高耶を起こそうとして顔でも舐めているのかもしれない。
 いきなり入って猫……ヒョウパンチをくらってもなんなので、
「おうぎぃ、入るぜぃ」
 潮は昨日と同じように声をかけた。
 すると、急にテント内が静かになる。
「仰木!?」
 慌てて中に入ると、予想外なことに高耶はひとりきりだった。
「あれ、今ここに誰かいただろ」
「……いや、オレひとりだけど」
「うそつけ。だって声がきこえて───」
 その時、潮はテントがわずかにめくれあがっている部分を見つけた。
 どうやら誰かが、入口とは逆の方から強引に外へ出たらしい。
「誰がいたんだよ」
「誰も。聞き違いだろ」
「んなわけねーって。誰だよ。言えよ」
「だから誰もいねえって」
 結局、高耶がコーヒーを飲み終えて潮を追い出すまで、その問答が延々と続いた。
 

  □ □ □


 馬鹿じゃないかと言いたくなるほど、橘は高耶のすぐ傍に立って、報告を始めた。
 何をそんなに近寄る必要があるのかと思う。
 高耶は高耶で、それを不思議とも思っていないようだ。
 他の人間だったら、毒がどうとか言って距離を取るくせに。
「兵頭、例の件調べたそうだな」
 橘が偉そうに聞いてきた。
 お前に言われたからではない、隊長に言われたから調べたんだと心のなかでなじる。
 負けじと高耶の傍に近寄って、報告を始めた。
 すると。
「隊長。目の下のところ、どうしたんです」
「ああ、昨日の戦闘でちょっとな。───触るなよ。痛いんだから」
「結構深いですよ。消毒、したんですか」
 人の話を聞いているのかいないのか、こそこそとふたりで話している。
「なめときゃなおんだろ」
「そんなところ、どうやって舐めるんです」
「どうやってって───ってこら!おまえが舐めなくていいって!小太郎かよ」
「……奴に舐められてるんですか?どこを?」
「は?顔とかだけど……変な意味に取るなよ」
 兵頭はため息をついて、くるりと踵を返した。
「おい、兵頭。どこにいくんだ」
「持ち場に戻る」
「まだ報告が終わってないだろ」
「そがいなもんはとっくに終わっちょります」
「え?まじ?悪い、聞いてなかったから最初から……」
 その言葉を無視して、兵頭はさっさと持ち場へと戻った。



ラブラブ感を出したかったんですけどね。。。
え~ん><

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