とりあえず、web拍手のお礼テキストだけ更新してみます><!
本当に、ほんとうに!、いつもいつも拍手ありがとうございますm(_ _)m
お仕事のほうは、年内いっぱいは忙しいらしいです……;;
仕事!プライベート!ってきちんと気持ちの切り替えが出来る人になりたいです。。。
いや、ならなきゃいかんです。。。
そういう場合、プライベートでも付き合いのあるお仕事関係の人とは、
どうすればいいんでしょ??教えて、高耶さん><!!
えーと、おまけは、拍手のお礼画面の3の周辺、という感じです><!
わ、わかりにくいかもです><!
□つづき□
団地の前で、老人が花壇の植木に話しかけている。
最近はすっかり構ってやれなくなってしまった愛車の暖気をしていた高耶は、その様子を眺めながらエンジンを切った。
「乗らんのかい」
「……今日は、やめとく」
「そうかい」
顔見知りの老人はそう言うと、再び植木に向かって何かを話しかけ始める。
「何を喋ってるんだ?」
高耶は、思わず問いかけた。
「色々だよ。最近の出来ごととか、考えたことをね」
老人は、顔を上げて高耶を見た。
「植物はいいぞ。手を掛ければ掛けるだけ、美しく、生き生きとしてくる。こっちの期待に応えてくれるんだ」
歪んだ笑みを浮かべている。
「人間と違ってね、裏切らない。人間は駄目だね。期待をしても、傷つくだけだ」
「なら、期待しなければいい」
そう言うと、老人はわざとらしく驚いてみせた。
「おまえさんは出来るのかい。相手に何の見返りも求めない、人付き合いが」
「できる」
「そんな、人恋しそうな眼をしてか」
「……………」
「人間は証しを欲しがる。何につけてもな」
老人は、立ち上がってそう言った。
「自分の価値を認める証しが欲しいし、自分が愛されているという証しが欲しい。そういうものだ」
まるで高耶のことなどお見通しだというような口ぶりに、少しだけ苛立ちながら、
「あんたは?あんたはどんな証しが欲しくてこの世に残ったんだ」
高耶が問いかけると、老人の霊は首を横に振った。
「それがわかっていたら、とっくにあの世へ行っているよ」
□ □ □
家へ戻ろうと階段を上り始めた高耶の脳内に、女性の声が聞こえてきた。
───あなたもそうでしょう
慌てて、階段を駆け上がる。
───自分の望みがわかっていない
部屋へ戻っても、女性の声は消えなかった。
───眼を逸らさないで
(やめてくれ……)
───私を殺してでも、手に入れたい証しがあったのでしょう
(ちがう)
自分は美奈子を殺したいと思った訳じゃない。
自分は何の証しも求めたりしてない。
求めているのはあの男の方であって、自分ではない。
(オレはあんな男、必要ない)
保護者面されて、少しだけ心を許したりもしたけれど、今はもう違う。
元の、ひとりきりの自分に戻ったのだから。
孤独な自分に………。
だからもう、あの男に何かを求めたりはしない。
(そろそろ、時間だ)
準備してあった鞄を手にして再び階段を下りると老人の姿はなく、代わりに迎えにやってきた千秋の車が停まっていた。
□ □ □
どこかの怨将の企みが頓挫し、放りだされたままになっている東京の公園施設が幽霊屋敷になっていると軒猿から報告が入ったのが三日前。
千秋、直江と三人でやってきてみると、確かにそこは、雑霊の吹き溜まりとなっていた。
人目につきにくい夜を待ってから結界調伏を決行、銀杏並木の作る黄色いカーペットを踏みしだきながら取り逃がした霊を全て調伏しきったのは、もうすぐ夜が明けようかという時間帯だった。
「は?今から帰る?」
「そしたら授業に間に合うだろ」
「あほか!俺は帰んねーぜ。ホテル戻ってひと眠りして、遊んでから帰る」
「じゃあ、駅まで送ってくれ。始発で帰る」
「………いつからそんな優等生になったんだ」
言い争うふたりを尻目に、直江はさっさと自分の車のドアを開けている。
「直江、お前はどーすんだ」
千秋が声をかけても、
「決めていない」
それだけ言って車へ乗り込むと、あっという間に走り去ってしまった。
「そーですか」
返す隙のなかった返事を、千秋が寂しく呟いている。
やり様のない苛立ちが、高耶の胸の内に込み上げてきた。
以前の直江であれば、じゃあ自分が長野まで送りましょうくらいのことを言ってもおかしくなかっただろう。
苦々しい面持ちの高耶の隣で、
「送ってくれって、素直に言やあいいんだ」
千秋はつまらなそうに言った。
□ □ □
「おまえと一緒に帰りたいって言われりゃあ、直江だって無下にはしないだろうに」
「………そんなこと、思ってない」
「あっそ」
「大体、今日のあいつの態度は何だ。ひどいにも程がある」
「まあ、やることはやってたんだし、いーんじゃねえ?原因はお前にもある訳だし」
千秋の言葉に、高耶は眼を剥いた。
「オレは何もしていない」
「だから、それが問題なんだろ。あいつに何かしてやれんのは、おまえだけ。おまえに色々してやれんのが、あいつだけなのと同じこと。いーかげん、認めろよ、お坊ちゃん」
「───ッ!」
カッとなった高耶が、千秋の胸倉を掴みにかかった。
「お、やる気か?いーぜ、たまには。相手になってやるよ」
しかし高耶は、掴んだ手を乱暴に離すとクルリと後ろを向いた。
「もういい。駅まで歩く」
「はあ!?お前、ここがどこだかもわかってねーだろ!」
「わかってる……なんとなく」
「そう言って、次は誰に拉致られる気だよ。武田?織田?シャレになんねーからやめろよな」
「うるさい」
「おまえをひとりで出歩かせるのは、止めることにしたんだよ、俺は」
本気で歩きだそうとする高耶を引き止めていた千秋の眼に、
「ん?」
見覚えのある車が映った。
「………戻ってきやがった」
ものすごい勢いでやって来たグリーンの車が、音を立てて停まった。
直江が、車から降りてくる。
「乗ってください」
助手席の扉を開くと、高耶に向かって言った。
「は……?何で………」
「いいから、乗って」
「ちょ……ッ!」
強引に高耶の腕を掴むと、抵抗する高耶を無理やり車に押し込み、千秋のほうへは眼もくれずに行ってしまった。
「……………」
ぽかんとなった千秋だったが、
「身内に拉致られてりゃ、世話ねーわ………」
またしても、挿む隙のなかった言葉を、ひとり寂しく呟いた。
□ □ □
ここでちょっと時間が戻ります~^^;
□ □ □
泣きながら、大の男が地面を転がりまわっている。
何を言っているのかよくわからないが、死にたくないと言っているように聞こえる。
だからと言ってお前はもう死んでいるんだ、なんて言っても聞く耳を持たないだろう。
自分がこの男に与えるのは、二度目の死ではない。
そう心で言い訳をする。
自分が与えるのは死ではなく、再び生を受けるための契機。
結んだ印を掲げて、
「バイッ!」
腹底から声を出せば、男の姿は光の切れ間に吸い込まれるように消えていった。
それが最後の一体だったようだ。
「終わったな」
千秋が声をかけてきて、その後ろから高耶もやってくる。
停めてある車へと戻りながら、反省会が始まった。
「案外、時間かかったな」
「やっぱ最初にある程度数を減らしておくべきだった?」
「いや、それじゃあ逆効果だったと思う。結界調伏のバリエーションをもっと増やしたほうがいいんじゃないか」
「なるほどね。……とっつぁんがいねーと、そういうとこの段取りが不便だなあ」
ふたりの言葉が、耳に入った傍から抜けて行く。
どうでもよかった。
早く高耶の傍から離れたかった。
……離れればまた、すぐに恋しくなるとわかっていても。
殆ど言葉は交わさぬまま、車に乗り込んで逃げだした。
□ □ □
消毒せぬまま放っておいた傷口のように、痛みがどんどん酷くなって行く。
最初はちょっとした切り傷だったのにいつのまにか悪化したそれは、熱を持ち膿が流れ出る。
彼につけられた精神の傷は、いつもそんな感じだった。
鎮痛剤はない。今更、消毒も効かない。
身体を快楽に浸して痛みをやり過ごすか、もしくは傷口を抉って膿を全部出してしまうか。
それくらいしか治療方法がない。
今日も、そんな傷を少なくとも二つ、つけられた。
今わかっているだけで二つ、なのだ。
彼の言葉や行動は、後々になって威力を発揮する。
大して意味がないと思っていたものにも、こういう意味があったのだ、と気付かされて愕然とする。
眩暈を感じて、車を路肩へと停めた。
苦痛から逃れる術はないか、考えを巡らせる。
けれど答えはいつも同じ。
彼につけられた傷を癒せるのは、彼だけなのだ。
しかし彼には、自分のつけた傷を癒すつもりなど端から無い。
どうしたらいい?
あの男のように、地面を転げまわって見せようか。
そうすれば彼も少しは同情して、傷口を撫でてくれるだろうか。
ぼんやりとした街灯の明かりの下、頭を抱え込んでいると、フロントガラスの隅に黄色いものが張り付いているのに気が付いた。
銀杏の葉だ。
そのきれいなからし色の葉を眺めていたら、何か大切なものを置いてきてしまったような気にさせられた。
何だったろう?
様々なことを想い返して、最終的に浮かんだのは、別れ際の高耶の眼だった。
拒絶と期待の入り混じった、瞳の色。
あの瞳に、自分は弱い。
今日見る夢には必ず、あの瞳をした高耶が出てくるだろう。
次に会う時までずっと、自分はあの瞳を忘れることが出来ないだろう。
「……………」
身体を起こしてアクセルを踏み込んだ直江は、その場で車をUターンさせた。
□ □ □
ここで拍手の3が入ります~^^;
□ □ □
あれから、ずっと無言だった。
心の中の想いを消したくなくて、赤い景色を消したくなくて、ふたりとも何も喋らかなった。
インターを降りた車は、街の中を走っている。
高耶の家まで、あと少し。
「手、どうしたんですか」
信号待ちの車内で、やっと直江が口を開いた。
「血が出てる」
「……気付かなかった」
どこかで切ったらしく、高耶の手の甲に、血がにじんでいる。
───汚れた血
高耶の脳裏で昔の記憶がフラッシュバックした。
「見せてください」
直江が、手を出すように言った。
「……………」
何をされるかがわかっていて、高耶は手を差し出した。
案の定、直江は滲んだ血に口をつける。
その唇の感触に堪え切れなくなって、
「───……ッ!」
高耶は手を引っ込めた。
「………青になってる」
タイミング良く、後ろの車が催促のクラクションを鳴らす。
「帰ったらちゃんと、消毒してください」
直江はそう言うと、落ち着いた様子で車を発進させた。
わかりにくい時間軸><
すいやせんっ><!