連載「uncommon life」02、03、04、
短編小話「blazing sparks2」を更新しました。
ということで、とりあえず「endless richness」の1日1話更新は、
いったん終了します。
楽しかったので、いずれまたやりたいです♪
そしてやっと連載再開なのですが、設定説明が長い……。
「長土製作所」は武具製造工房の便宜上の名前だと、
確か一蔵が言ってたと思うんですが、実際赤鯨衆内では
なんて呼ばれてるかわからないので、そのまま使ってみました。
というか原作を読み返す暇がなくって、
もしかしたらどこかに書いてあるかもしれません……。
今回の連載の話を書いていて、以前に、
もし「週刊Red whales」があったらどんな記事が載るか
というのを考えたことを思い出しました。
絶対あるだろうと思っていたのが、
「各砦別・食堂人気メニューランキング決定版!!」。
記事タイトルばっかり色々考えて放置してあったのですが、
久しぶりに読み返してみたら結構面白かったので、
おまけの最後のほうに載せてみます。
□つづき□
誰も使っていないはずの会議室から女性の声が聞こえて、不審に思った
高耶は扉をガラリと開けた。
「げっ!!」
「とめろって!はやくっ!」
慌てふためいてなにやらリモコンを操作しているのは、潮や楢崎を筆頭と
したいつもの問題児たちだ。
「なんだ、仰木かあ」
振り返った潮がほっとしたように言って、後ろ手に隠していたものを
高耶にみせる。
「お前も観るだろ、コレ」
それはアダルトDVDのパッケージだった。
「再生しますよ!」
二人の会話など待ってられないとばかりに楢崎がボタンを押すと、再び
映像が流れ始める。
「うわぁ……」
「現代人はものすごいのう……」
食い入るようにして画面を見つめる男達の姿に、高耶はため息をついた。
「おまえら……」
馬鹿なやつらは放っておこう、と部屋を出て行きかける。
ところが部屋の隅っこに、あってはならない姿を見つけてしまった。
「う、卯太郎っ!なにやってるんだ!」
ポーっとのぼせた顔で立っている卯太郎の鼻からは、大量の血液がぽたぽたと
流れ出ている。
「こら、観るな!目を閉じろ、目を!」
慌てて後ろを向かせると、卯太郎はぐったりなって寄りかかってきた。
服に染み込んだ血の量からみても、かなり失血が酷そうだ。
「AV観て失血死なんてやめてくれよ」
「はい……すびばせん」
医務室へ行こう、と促すと、止まらない鼻血を手で押さえながら、卯太郎は
名残惜しそうに画面を振り返りつつ歩き出した。
□ □ □
部屋を出ようと卯太郎の背中を押しながら、どうしてもDVDの音が耳に入ってくる。
甘ったれた声を出す女優と卑猥な言葉を発する男優とのやりとりが、自分の
どうしようもない痴態を思い出させるから、なんだかいたたまれなくなってきた。
とそこへ、
「隊長」
引き戸がガラッと開いて、黒のミリタリーウェアを着込んだ男がやってきた。
「う、うわあっ!」
「かくせっ!」
またしても潮らは慌て出し、楢崎などは身を挺して画面を隠したりしている。
「………なんだ、橘か」
「早く閉めろって!」
高耶の時と同じようなやり取りがされ、直江が言われた通りに引き戸を閉めると、
みたび鑑賞会は再開された。
男所帯なのだから誰かに見つかったからといって咎められるものでもなさそうだが、
やはりこういうものは隠れてみたほうが雰囲気が出るのだろうか。
突っ立ったまま流れ始めたビデオに視線が釘付けになっていた直江は、少ししてから
不審気に高耶をみた。
「あなたまでこんな……」
「ちがう、オレは」
「しっ!ちょっとだまって!!」
高耶の言葉を制して誰のものかもわからない声が飛ぶ。
平隊士が天下の仰木高耶に黙れと言えてしまうほど、AVのチカラというのはすごい
らしい。
高耶はため息をついて、まだ血が止まらないでいる卯太郎の腕を掴んだ。
「ちょっと中川んとこ連れていってくる」
「私も行きます。話があったんです」
貧血でふらつきはじめた卯太郎は直江がおぶってやって、医務室へ向かうことにした。
「あんなもの観て。欲求不満だったんですか」
「馬鹿いうな」
「私に言えばよかったでしょう」
「……………」
違うと言っているのに直江もしつこい。
「………卯太郎がいるんだぞ」
そう言って直江の背中を見ると、卯太郎は苦しそうに呻いていて、ふたりの会話など
まるで聞こえていないようだった。
□ □ □
ところが医務室へ来てみても、肝心の中川がいなかった。
鼻血は止まったものの顔面蒼白の卯太郎は、ベッドへ横になるとそのまま目を閉じてしまった。
貧血のせいで、意識がはっきりしていないようだ。
すぐにでも処置をしなければならないというのに、高耶は何故か上の空でいた。
「どうしました」
「いや……昔はあーゆうのすげえとか思ってたけど、今見るとないしたことないのな」
達観した表情を浮かべて、腕を組んだりしている。
「何故でしょうね」
「さあな。どっかの誰かの頭ん中が、AVでもできねーようなことでいっぱいだからだろ」
「……どっかの誰かさんはソレを悦んでいるようですけどね」
少しだけ笑みを浮かべた直江が、高耶の頬に手を伸ばす。
そのまま互いの顔が近づいて、今にも唇が触れるかというところで痛い視線に気が付いた。
せっかくとまった鼻血をまた吹き出しながら、卯太郎がふたりを見つめている。
「………だいじょうぶか」
高耶が何事もなかったように、パタパタと手で仰いでやると、
「中川を呼んできます」
直江も何事もなかったように部屋を出て行った。
「おうぎさん……えーぶいにもできないことちゅうのは……よろこんでちゅうのは……」
潤んだ瞳でいう卯太郎に、高耶は冷静な声でぴしゃりと言った。
「いいから、忘れなさい」
3つにわける意味があったのかどうか……。
そして!
もし「週刊red whales」があったとしたら……こんな感じ?
・総力特集!赤鯨衆のすべて 主要砦見取り図から幹部陣の生い立ちまで一挙掲載
・嘉田嶺次郎ロングインタビュー 革命の動機
・新連載:中川掃部 come on!お悩み相談
・特集:大注目!期待の新人隊士たち
・密着・鷹ノ巣砦〜ある前線隊士の一日〜
・特集:勝機があるのはココ!〜独眼竜のアキレス腱〜
・一般隊士100人に聞きました!ここがヘンだよゲンダイ人
・信親公追悼特集 あれから数ヶ月。事件の一部始終を振り返る
・傀儡子になりたい!全国を駆け巡るその仕事の魅力
・緊急レポート・諜報班真木氏による「傀儡子という職業の危険性」
・特集 室戸のオキテ
・一般隊士緊急アンケート!加藤清正入隊の是非
・寿桂尼 〜心の母〜
・知っておきたい!心霊治療最前線!
・白鮫に聞いた、強い漢と弱い漢
・四万十・屋形船ウラ利用術
・特集:いま《闇戦国》はこうなっている 〜最新全国勢力図〜
・素顔の赤鯨衆 武藤潮スナップ集
・新連載 西村砦長「今週の一品」
・いま急増する現代霊 私が赤鯨衆に入った理由(ワケ)
・新連載(隔週)叶誠一の心象スケッチ
・徹底討論《裏四国》
【グラビア特集】
・嘉田嶺次郎 日常化するサバイバル
・草間清兵衛 雪渓寺を歩く
・兵頭隼人 鍛錬の極み 室戸流拳法
・武藤潮 蘇る土佐七雄
直高のグラビアタイトルなら、無数に思いつきそうですね♪