忍者ブログ 不立悶字(ふりゅうもんじ)

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連載、お題、を更新
連載「白銀の翼」09、お題「沙織」を更新しました。
今週は(も)全く筆が進まず……。
ゆるして……ください……。
ううっ。

そのくせ、おまけはかかさない!
つづき
【高校は卒業後っぽい設定】

「あの、すみません」
 繁華街で突然、ものすごく綺麗な女性に声をかけられて、奥村は思わずどきまぎしてしまう。
 けれど彼女は奥村の前を素通りして、一緒に歩いていた橘に話しかけ始めたからがっかりだ。
「君、もうどこかの事務所に入ってるのかな」
 やはりいつものスカウトだ。芸能事務所やらモデル事務所やら、橘と都内を歩いているとこういうことが多々ある。
「ええ。残念ですが」
 もちろん橘はそういった事務所などには入っていないが、断る口実としていつもこの手を使う。
「そっか、そうだよね。じゃあコレだけ貰ってくれる?」
 彼女は名刺を差し出してきた。
 素直に橘が受け取ると、首を傾げてニコっと笑う。
 その笑顔があまりに魅力的で、奥村は思わず見とれてしまった。
「何かあったら、いつでも連絡ちょーだいね」
 彼女はそう言って、長い髪を靡かせながら去っていった。
 その残り香にクラクラしながら、
「小遣い稼ぐつもりでやってみりゃあいいのに」
 奥村が呟くと、橘は受け取ったばかりの名刺を奥村に突きつけた。
「なら、お前がやればいい」
「無茶いうな」
 奥村は手渡された名刺に目を通す。○○モデルエージェンシーと印刷された名刺で彼女の肩書きはなんと代表取締役となっている。
「すげえ、あの人、社長じゃないか」
 あんなに若くて綺麗な社長がこの世には存在するんだな、と奥村は感心する。
「きっと、元モデルとかだな」
 奥村がそういうと、橘は、
「個人的なお付き合いなら、お願いしてもよかったな」
 呆気にとられてしまった。
 あんな美女とどうこうなろうという発想自体、奥村などには思いつかない。
「お前と俺とじゃ思考の次元が違いすぎるんだ」
 奥村が厭そうにいうと、
「今更気付いたのか」
 橘は笑って言った。

  □ □ □
 
 駅前の待ち合わせ場所で橘を待っていると、
改札とは反対の方向からなんと女連れで現れたから、奥村は思わずぎょっとなった。
 しかも橘の好みとはだいぶ違う感じで、おさげの髪からいってもまだ少女に近い。
「じゃね♪また電話するわ♪」
 橘の腕に絡ませていた手を解いた彼女は、上機嫌で改札口へと吸い込まれていく。
「待たせたな」
「いや……。お前、随分趣味が変わったな」
 呆気にとられたようにまだ改札の方向を見ている奥村に、橘はきっぱりと言った。
「ああ。アレはそんなんじゃない」
「そんなんじゃないって……かわいい子じゃないか」
 まだ子供のような容姿だが、数年もすればきっとかなりの美人になる。
「……アレは男みたいなものだからな」
「は?おとこ?」
 なんだ、それは?男友達のようなものということだろうか?
 でも腕まで組んでいたのに??
「あまり深く考えるな」
 苦笑いを浮かべる橘の交友関係に、ますます謎を深める奥村だった。



ねーさんが上機嫌なのは直江のおごりでご飯食べてたってことで。
直江って大学行ってたんですかね?
奥村さんは仏教系の大学ですよね。
一緒に行ってたのかなあ?

以下は、甘めのやつです。



「ん………っ」
 直江の舌が犬歯のあたりばかり這い回るから、高耶は思わず顔を背けた。
「……からかってのんかよ」
 高耶は自分の八重歯の事をあまりよくは思っていない。
「好きだから」
「なにが」
「この、感触が」
 懲りない直江が顎を掴んで口を開かせてくるから、高耶は自らの舌を直江の口内に差し入れて、その侵入を防いだ。

  □ □ □
 
 鎖骨から首筋へと唇を這わせると、その先の行為を期待した高耶の身体が甘く絡み付いてくる。
 じらすように少しずつ舌を這わせていくと、毒を含んだ高耶の汗がピリ、と舌に痛い。
 とうとう耳朶に辿りついて、甘く歯を立てると、
「は………っ」
 高耶の唇から吐息が漏れた。
 下腹部で触れ合っている互いの性器がますます硬く張りつめる。
 そろそろ頃合だ、と身体を起こそうとすると、高耶が離れようとしなかった。
 高耶は耳をいじられるのが好きなのだ。
「もっと」
 潤んだ瞳と熟れた唇でそう囁かれてしまっては逆らえない。
 最終的に高耶が挿入をせがむまで、丁寧に耳を可愛がってやった。

  □ □ □
 
「抱き枕でも買いますか」
 どんなに布団をかけなおしてやっても、その布団をはいで丸めて抱え込んでしまう高耶に、とうとう言ってみた。
「……おまえがいるからいい」
 まだ眠気の覚めない高耶はまどろみながら、今は直江を抱き枕代わりにしている。
「私がいないとき用に」
 そう言ったら、
「ずっといればいい」
と答えが返ってきて、このひとは、と苦笑いを浮かべるしかなかった。
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