短編「almost usual day」を更新しました。
譲くんの誕生日をスルーしたことに心を痛めつつ、
ねーさん誕生日おめでとう♪
ふたり夜叉衆は、書いててすごく楽しいです♪
そして!
□つづき□
そ、と、に、で、て
待ち合わせ場所の喫茶店で待っていると、高校の制服姿の綾子が表通りから
ガラス越しにジェスチャーで伝えてきた。
直江は仕方なく会計を済ませてから外に出る。
「なんだ」
久しぶりに会った綾子は、髪を少し切っていた。
「こんなとこで待ち合わせたりしたら、援交だと思われちゃうわよ」
「………何故"援助"をつける。普通の交際だと思うかもしれないだろう」
まあ綾子と自分の歳なら、それでも犯罪になってしまうのだが。
直江の言葉に目をぱちくりさせた後で、綾子はうーんと小首をかしげて言った。
「それもイヤ」
「……………」
こっちのセリフだと言いたい。
「ね、それより早く行きましょう」
昼食はホテルのバイキングで、と綾子が勝手に手配してしまったのだそうだ。
自分で金を出すわけでもないくせに。
綾子の直江をひっぱろうとする腕が絡まってきて、これではどうみても恋人同士だ。
いったい何がイヤで何がイイのか、全く理解できない。
せめてふたりで会うときだけは私服で来て欲しい、と思う直江だった。
□ □ □
酔っ払った綾子がふらふらと繁華街を歩いていたら、少し先をよく見知った男が歩いていたから、叫びながら背中に激突した。
「にゃ〜おえっ!!」
思った以上にまわらない口が自分でおかしくて、げらげらと笑いながら直江の肩をバシバシと叩く。
すると、
「どなたかと人違いされてませんか」
と、思いっきりの社交スマイルで言われた。
「へ?」
よく見れば、直江の隣には見知らぬ女性がひとり。
「………あ、すいませぇ〜〜ん。まちがえましたぁ〜〜」
後が怖いのでおとなしく引き下がりはしたが、ふたりの後姿を見送る綾子を傍らの女性がちらりと振り返った。
その視線がとても好意的とはいえないものだったから、なんだか気に入らない。
「む〜〜〜〜」
あんたが今から寝るその男はね……!と悪行を並び立ててやりたかったが、そこは自分ももう大人だ。
ぐっとこらえて、あかんべーだけで我慢した。