忍者ブログ 不立悶字(ふりゅうもんじ)

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一日遅れですが。。。
原作者様、お誕生日おめでとうございます~~!
と、いうことで、ちょこっとおまけだけ^^

なんだか最近多い、パラレルEN設定です!
つづき
 9月12日。
「だからですね、お彼岸というのは仏教行事というよりも、日本独特の年中行事なんですよ」
「ふうん」
 ソファで隣に腰掛けている高耶は、気のない返事をよこしてきた。
「聞いてます?」
「聞いてるよ。つーか知ってる。で、そのせいで、おまえは連休だってのに実家を離れらんないんだろ」
 高耶はすねた口調で言った。
「………すみません」
 来週末からは祝日が続く暦となっているから、直江としても高耶とずっと一緒に過ごしたいところだ。
 けれど彼岸会と重なっているものだから、その前後の法事を連休中にまとめて済ませてしまおうという檀家も多く、光厳寺は中々に忙しい。
「金曜の夜には東京に戻りますから、土曜日、ちゃんと駅まであなたを迎えに行きますよ」
「………絶対だぞ」
「ええ」
 視線を合わせて頷くと、高耶にしてはめずらしく、自分から直江の首に両腕を回してきた。


  □ □ □


 9月25日。
「高耶さん」
 改札口を出るとすぐ、直江の声がした。
 電話ではしょっちゅう話していたけれど、顔を見るのは約二週間振り。
 まっすぐにこちらを見てくる直江の視線が照れくさい。
「よう」
 挨拶の声も、何だかぎこちなくなってしまう。
 が、直江の方はいつもと変わらない声で、
「行きましょう」
 高耶を促すと、歩きだした。
「忙しかったのか」
「ええ、とっても。あなたを呼び寄せて、手伝ってもらおうかと思いました」
「今時の坊さんの所作なんて、わかんねーぜ、オレ」
 しかしあまりに人手が足りない為に、橘家では長兄を駆り出そうという話し合いまで持たれたらしい。
「経を詠むのは何十年振りとかいうもので、さすがに断念しましたが」
 まあ、不動産一筋人間の唱えるお経では、ご先祖様の霊魂も鎮まりようがないかもしれない。
 苦笑いを浮かべる直江の横顔を、高耶は笑って見つめた。
「こっちです」
 広い駐車場に片隅に停まるグリーンの車の扉を直江が開けて、高耶はいつもの通り助手席へと座る。
 そして運転席側に回り込んだ直江は乗り込むなり、
「高耶さん」
 待ちきれないといった様子で、高耶の腕を引いて抱き寄せた。
「………人に見られる」
「構わない」
 直江は高耶を抱く腕に更に力を込める。
───……」
 高耶も手を、直江の背中へとまわした。
 ………何と言ったらいいのだろう。
 心にあいていた穴が埋められていく感じ?ずっと不自由だった身体の部分がやっと元に戻った感じ?完全ではなかったものが、完全になったという満足感と充足感と快感。幸福感。
 高耶がそんな感覚を抱いていると、
「………生き返る心地がします」
 直江は静かに、そう呟いた。




私も法事があったのですが、
19日の冨士霊園はバカ混みでしたよ~^^;
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