更新は、明日にしまっす♪
ということで、簡単なおまけを……!
□つづき□
「ちょっとお!何でこんな場所選んだのよ!」
着くなり、綾子は文句を言ってきた。
待ち合わせたのは、とあるファミリーレストランの禁煙席だ。
「何でって、いっつもここじゃねーか」
千秋が半眼で答える。
と、高耶が何か変な物でも見るように、綾子の腹を見た。
「ねーさん……。いま腹鳴らなかった?」
「私ね、今日からダイエット突入なのよう!うう、おいしそう……」
綾子は高耶の前に置かれたオムライスを恨めしそうに眺める。
その横から千秋が、
「食事制限だけじゃ痩せねーぜ」
「わかってる。私、筋力はそこらへんの男よりあるつもりよ。ただその燃費を軽く超えるカロリー量を摂取しちゃうから……」
綾子の大食いっぷりは、どんなに時代を経ても変わらない。
魂の底からの大食らいなのだ。
「単に胃拡張なだけだろ」
「美食家って言えっていつも言ってるでしょ!」
そう言いながら綾子はメニューを開くと、フンフン、豚フェアーねえ、と品定めを始めた。
ダイエットは、明日からになったらしい。
□ □ □
「今まで食べた中で一番おいしいものってなんだった?」
高耶が急に、そんなことを口にした。
「そうですね……断食行の後の粥、ですかね」
直江は悩みながら答える。
「断食?そんなのしたことあんだ」
「随分と前のことですが。粥といっても玄米の混じった白湯に近いものでしたが……甘くて、飲み込んだ後に胃から栄養分が身体に染み入っていくのがわかるようでした」
最近は禅寺などで、一般人に向けて泊まり込み断食コース、というようなのがあるらしい。
「あなたも行ってみれば」
「よせよ」
高耶は笑った。
直江は高耶に質問を返す。
「あなたは?何が一番美味しかったですか?」
「うーん……。オレ、一番っていうのはわかんねーけど、学校帰りの寄り道だけはやめらんねーな」
高耶が最近の若者らしく、ファストフードをこよなく愛していることは直江も知っている。思わず笑みが漏れた。
「あ、でも中坊んとき譲んちで食わせて貰ったハンバーグは、最高にうまかったなあ」
おばさんの腕がいいせいなのか、オレが家庭料理に飢えてただけなのかはわかんねーけど、高耶は呟く。
「私はてっきり、美弥さんの手料理、とかかと思ってました」
「あ!そうだよな!そうしよう、美弥のカレーにする。オレが教えてやっただけあって、ウマいんだ」
「つまり、自画自賛ということですね」
「……そうなるかも」
ふたりは顔を見合わせると、同時に吹き出した。
ああ、お腹空きました……;;